精神科の訪問看護で一部の事業者が利益を目的に過剰な訪問をしているとされる問題を受け、厚生労働省は適正化に向け仕組みを見直す方針を固めた。2024年度の科学研究費を使った特別事業で実態を調査し、次回26年度の診療報酬改定で実施する考え。関係者への取材で23日、分かった。
最大手とされる「ファーストナース」など複数の事業者が利用者の必要度に関係なく訪問回数を増やし、診療報酬を得ていると指摘されている。 厚労省は訪問看護ステーションの基準見直しや報酬改定に調査結果を生かす考え。過剰な訪問を是正する一方、利用者の状態に応じて適切な支援をしたり、対応が難しい利用者を他機関と連携して受け入れたりする場合は報酬面で評価する方向で検討されそうだ。具体的な内容は来年度、中央社会保険医療協議会(中医協)で議論する。 実態調査は(1)利用者の状態変化に応じてどのように訪問看護をしているか可視化する(2)訪問看護の役割やプロセス、関係機関との連携態勢を整理する(3)高い頻度で訪問する必要がある対象者を明確化する―のが狙い。2024年9月23日月曜日
2024年9月15日日曜日
精神科病院「滝山病院」の理事長、院長が辞任
看護師らによる患者への暴行事件が2023年2月に明るみに出た精神科病院「滝山病院」(東京都八王子市)は2日、医療法人社団孝山会の朝倉孝二理事長と同院の朝倉重延院長が8月31日をもって理事を辞任したと発表した。
1日に理事長兼院長として工藤龍彦氏が就いた。不祥事の管理監督責任を明確にするため、今年1月、都に提出した改善計画に理事長、院長が交代することを明記していた。病院は暴行事件の発覚後1年半を経て新体制で改革に取り組むことになった。 病院の発表によると、工藤氏は1942年生まれ。東京医科大卒業後、同大八王子医療センター長などを歴任した。精神科病院で隔離死の疑い、表面化 提訴や刑事告発相次ぐ
精神科病院に入院した患者が隔離された末に死亡したことを受け、病院側の過失を問い、隔離が死に至る危険な行為だとする訴えがこの8月に相次いだ。患者やその周囲に及ぶ危険を減らすためやむを得ず行う「隔離」が常態化すれば、心身に悪影響を与えるのは自明だが、死亡との因果関係を証明するのは困難とみられてきた。しかし、3年前の最高裁の判断を機に潮目は大きく変わった。
兵庫県の「明石土山病院」(明石市)で2年弱に及ぶ隔離の末、2021年4月に50歳で死亡した統合失調症の初田竹重さんの両親は今年8月26日、病院側の隔離と不注意が原因で死亡したとして同院に約5700万円の損害賠償を求めて神戸地裁に提訴した。 訴状によると死因は朝食のパンを喉に詰まらせた窒息死。初田さんは施錠された保護室にほぼ終日隔離され、食べ物を飲み込む力が弱まり、病院は誤えん防止のため食事中に見守るべきなのに怠ったことが死につながったとしている。 提訴後の会見で竹重さんの両親は「竹重の死は防げたのではないか」「今後、第二の竹重を出してはいけない」などと語った。 病院側は「一切コメントしない」と話している。 ■隔離+32日間も拘束 都内の精神科病院で4カ月にわたり隔離された末、23年6月に死亡した男性(50代)については8月30日、この男性を担当していた同院の元看護師が刑事告発した。 男性の死因は心筋梗塞。隔離が長引くにつれ血圧が上がり、拘禁反応が見られたにもかかわらず病院が適切な処置を怠ったこと、死亡日までの32日間は身体拘束をしたことが業務上過失致死に当たると訴えた。 告発者は「こうした事例は精神科病院ではよくある。私は隔離をやめるよう進言したが取り合ってもらえなかった」と語る。 ■最高裁の判断が後押し 隔離をめぐる法的措置が続いた背景には、石川県内の精神科病院で6日間身体拘束されて死亡した大畠一也さん(40歳)の民事訴訟で、拘束を違法と認めた21年10月の最高裁の判断がある。 精神医療に詳しい長谷川利夫杏林大教授は「隔離を争点とした訴訟はあまりなかったが、最高裁の判断は患者やその家族に『病院で行われていることを疑ってもいいのだ』と思わせる方向に後押しした」とみる。 ■「最小化」の行方は 最高裁の判断を重くみた厚生労働省の審議会は22年6月の審議報告に、隔離や拘束の最小化に向けて運用ルール(処遇基準告示)を見直すと明記。しかし、見直しの議論は非公開で行われ、今年8月末時点で告示は改正されていない。 告示を改正することで医師の裁量が広がり、むしろ隔離・拘束が増えるとする疑念も根強くある。今年5月に始まった厚労省の検討会は隔離・拘束の最小化を「前の検討会での宿題事項」とし、引き続き議論する予定だ。 長谷川教授は「隔離が心身に与える影響を重くみるべきで、精神科病院における実態把握が必要だ」と提唱している。2024年9月7日土曜日
県立総合病院に再び「是正勧告」、上限超す時間外労働など
滋賀県立総合病院(守山市)は6日、事務職員と薬剤師に労使協定で定めた上限を超える時間外労働をさせていたなどとして、大津労働基準監督署から是正勧告を受けていたと発表した。勧告は6月20日付。
発表によると、労使協定で時間外労働の上限は事務職員は月80時間、薬剤師は65時間と定められているが、今年3月に事務職員1人が83時間、4月には薬剤師2人が90時間と82時間の時間外勤務をしていた。人事異動などで業務量が増えていたことや、上司による残業時間の不十分な確認が原因で、6月20日に同労基署による立ち入り検査で明らかになった。
また、この立ち入り検査で、昨年度の同病院職員の定期健康診断で異常所見と診断された職員について、医師の意見を健康診断個人票とは別の紙に記載していたことも判明した。
同病院は2019年1月にも医師と事務職員に労使協定の上限を超える残業をさせたり、看護師の残業代の一部を支払っていなかったりしたとして、同労基署から是正勧告されている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/9d21074fc9b6d50bdffb8dbcb19d9e7c451a1139
2024年9月6日金曜日
障害者医療費助成の助成金「99万9032円」未払い
宮城県名取市が、障害のある人の医療費を負担する助成金について、申請書が出されているにもかかわらず、未払いとなっている人がいたことが分かりました。
名取市によりますと、障害のある人の医療費を負担する障害者医療費助成の助成金について、総額で99万9032円の未払いがあったということです。今年7月末、受給者から振り込みがされないことについて問い合せがあり発覚しました。 この制度は助成申請書を提出し認められれば、かかった医療費分が毎月登録口座に入金されるものです。未払いとなっていた申請は271件で、対象者は36人です。最も高額な人で、2020年8月から2023年11月までの期間、20万2480円が未払いとなっていました。口座情報の登録など、データを処理する際に確認漏れがあったということです。 名取市では対象者に電話と文書で説明し、謝罪したということです。また未払い金については、一部の連絡の取れない人を除き、9月5日に登録口座へ振り込まれています。2024年9月5日木曜日
《市民病院医療事故多発》科長に虚証を強要か「職員としての服務規定」 病院は否定【加筆あり】
赤穂市民病院の脳神経外科手術で医療過誤に遭った被害患者と家族が赤穂市などを相手取り損害賠償を求めている民事訴訟をめぐり、その手術で助手を務めた科長が、病院の管理職から裁判で嘘の証言をするよう強要された、と原告側に伝えていたことが4日、裁判の証拠として提出された音声データでわかった。
病院は5日、赤穂民報の事実確認取材に「偽証教唆等の事実はない」と回答。科長の話と食い違っている。
この裁判は2020年1月、腰部脊柱管狭窄の手術で誤ってドリルで神経を切断され、両足のまひや膀胱、直腸の重度障害が生じた70代女性患者と家族が慰謝料など約1億3000万円の支払いを求め、主治医として手術を執刀した40代男性医師と病院を開設する市を訴えているもの。原告側は科長を証人として申請し、裁判所が採否を留保している。
原告側が証拠として提出したのは、今年5月15日に科長が被害患者の家族と電話で話したときの音声データ。それによると、科長は管理職の病院職員から「証言に立つ時は(男性医師の)主張に反論しないように」「(男性医師の)罪を軽くしとかないと、総額の支払いが増えてしまう」「病院を守るには先生が犠牲になってもらわないと困る」などと要求されたという。科長が「偽証するのはおかしい」と反論したところ、管理職から「これは職員としての服務規定だ」と強要された、という。
また、別の音声データでは、医療過誤に関する赤穂民報の取材質問状に対し、当時の院長や管理職が虚偽の回答をした、と暴露。口裏を合わせるように院長らから命令や指示を受けた、と明かしている。
裁判で宣誓した証人が虚偽の証言をすれば偽証罪が成立し、懲役3か月以上10年以下の法定刑が定められている。
これらの科長の主張は事実なのか。赤穂民報の取材質問に対し、管理職の病院職員は4日、「自分の一存では答えられない。病院として協議した上で回答する」とし、5日に病院名で「偽証教唆等の事実はない」と文書で回答した。
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5日に赤穂市民病院から回答がありましたので、その内容を記事に追加しました。(2024年9月5日15時20分)
https://article.yahoo.co.jp/detail/27a5956fe9c5454b3cd72d97080011422cc93edc
2024年9月4日水曜日
関西大手ホームでも過剰や不正か 入居者訪問看護「全て複数人に」
関西の有料老人ホーム運営大手「スーパー・コート」が、入居者への訪問看護について、必要性に関係なく100%複数人での訪問にするよう全社的に指示していたことが3日、共同通信が入手した社内文書で分かった。過剰な診療報酬の請求に当たるとみられる。
このほか、複数の現・元社員が「看護師1人で訪問した場合でも『複数人で訪問した』という虚偽の記録を作り、診療報酬を不正に請求している」と証言した。 スーパー・コートはホテルチェーン「スーパーホテル」と同一グループで、老人ホームやパーキンソン病専門住宅を約50カ所運営。入居者向けの訪問看護ステーションも併設している。取材に対し「複数人での訪問に関する目標値は、必要な入居者全てに対応できるようにするためで、過剰な報酬請求には当たらないと考えている。不正請求の指摘については、会社の指示ではないことを明確に申し上げる」としている。 パーキンソン病といった難病や末期がんの人への訪問看護では、毎日3回まで診療報酬を請求でき、複数人で訪問すれば加算を得られる。過剰訪問看護の規制強化 厚労省、不正請求防止
厚生労働省は1日、 有料老人ホーム などで 訪問看護 を過剰に提供する事業者への規制を強化する方針を明らかにした。ホスピス型有料老人ホームの入居者らを対象に、一部の事業者による不正な 診療報酬 請求の横行が疑われることを踏まえた。2026年度の診療報酬改定で、主治医が指示書に...
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発表によると、容疑者は昨年9月、自身が営む宮崎市内の整骨院で、柔道整復師の資格がない従業員に患者5人への柔道整復施術を計26回させたほか、無資格の従業員が施術したのに有資格の自身が施術したなどと偽り、今年1月下旬頃、国民健康保険負担分の療養費計約3万円を宮崎市から振り込ませて...
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横浜市にある病院が看護職員の数を水増しして診療報酬1億8000万円余りを不正に請求していたとして、関東信越厚生局はこの病院への保険医療機関としての指定を来年3月1日付けで取り消す処分を決めました。病院は来年3月末で閉院するとしています。 保険医療機関としての指定を取り消されるのは...
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滋賀県長浜市立長浜病院参事(管理職)の男性診療放射線技師(56)が7月に自分の家族の胸部CT撮影を勝手に行っていた問題で、市病院事業は21日、技師を非管理職の主幹に2階級降任させる分限処分などを同日付で出したと発表した。 地方公務員法に基づき9月1日付で降任させるほか、減給3...